当院の考え
小児の病気を診察する上で重要なのは、急性疾患か慢性疾患か、そして重症度を見極めることです。お子様は症状を上手く言葉に出来ないので、保護者の方との良好なコミュニケーションや医師の経験が非常に大切です。
ご両親が納得して初めて良好な治療ができますので、小児疾患は特に「みえる診療・わかりやすい説明」を心がけています。
また当院では抗生剤を”正しい強さ、正しい期間”使うことを心がけています。ほとんどのお子様が強い抗生剤を使わずに軽快します。それは、当院が小児であっても「しっかり処置する」からだと考えています。是非ご相談ください。
処置について
お子様の症状や内服薬を最低限に抑えるためにも、処置は大切です。できるだけ処置の負担が少なくなるよう、「お子様の性格に合わせて素早く的確に」をモットーとしています。スタッフ教育にも力を入れておりますので安心して受診して下さい。初めは泣いてしまう子もいますが、処置した後に症状が楽になると分かると3歳程度のお子様でもひとりで診察台に座ってくれるようになりますのでご安心ください。
鼻・のどの病気
アレルギー性鼻炎
~アレルギーの総合治療を目指します~
当院では幼少期からのアレルギーの総合的な診断・治療に力を入れています。アレルギー性鼻炎は、アトピー性皮膚炎や喘息とも大きな関係があり、たかが鼻水、たかが乾燥肌とあなどってはいけません。治らないからと放置されているアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎をよく見かけますが、それはお子様の小さな体にとても負担です。適切な環境整備や保湿指導を行うことで、アレルギーの連鎖や進展を避けることができます。重症例や食物アレルギー合併例は、神戸中央市民病院や加古川市民病院、西神戸医療センターの小児科と提携して治療していきます。
0歳から可能なアレルギー検査を導入しました。結果は当日に出ます。
当院の小児アレルギー治療の流れ
- 1・診察・
- 保護者の方からの問診と、みみはなのど、肌の診察が欠かせません。
- 2・アレルギー検査・
- 年齢やお子様の性格に合わせて鼻水、指先からの微量採血、通常の採血など、様々な方法が可能。
- 3・結果説明・
- 指先からの微量採血はその日に、その他は1週間で結果が出ます。原因に応じて、適切な対策をとることができ、受診のタイミングが分かりやすくなります。
- 4・治療方針相談・
- 舌下免疫療法、レーザー治療、通常の内服療法、分子標的薬注射療法などの組み合わせを、一人ひとりに合わせ提案します。
アレルギー根本治療の舌下免疫療法は、当院の年間導入数は250例以上であり症例数が豊富です。是非ご相談下さい。
小児副鼻腔炎
細菌やウイルスによって、鼻腔周辺にある大小の空洞(副鼻腔)に炎症が起きて膿がたまる病気です。
風邪をひいてから急に起きるものを急性副鼻腔炎と言い、急性が治らず3か月以上慢性化したものを慢性副鼻腔炎(いわゆるちくのう症)と言います。
2歳までは副鼻腔の発育が乏しいため副鼻腔炎になりにくく、単なる急性鼻炎が多いです。3歳を過ぎて副鼻腔が発達してくると起こりやすくなります。
<症状>
黄色や緑の鼻水、鼻づまり、頭痛、いびき
湿ったせき、長期間のせき、たん、頬の痛み、嗅覚障害
<治りにくい原因>
アレルギー性鼻炎 保育園児 アデノイド肥大
<検査>
鼻汁細菌培養 鼻汁好酸球 レントゲン 細径内視鏡
<治療>
鼻の処置や洗浄/抗生剤を中心とした内服治療/慢性の場合は抗生剤少量長期療法(マクロライド少量長期療法)/ネブライザー
細菌を含むネバネバした鼻水が取れないと、さらなる炎症を引き起こして慢性化の原因となります。
小児は鼻がうまくかめないので、薬だけに頼らず、鼻から鼻汁を吸い取り、鼻の換気を良くする処置が大切です。
耳の病気
耳垢(みみあか)
自宅での過度な耳掃除は危険です。綿棒などで無理に掃除をすると奥に耳垢を押し込んでしまい、詰まりや外耳道炎の原因となります。気になる方は、耳鼻咽喉科で耳垢除去をしましょう。
耳掃除だけの受診でももちろん良いですし、風邪の受診時のついででも構いません。気兼ねなくご相談ください。
急性中耳炎
鼻の奥にいるウイルスや細菌(①)が、鼻と耳をつなぐ耳管(②)を通って鼓膜の奥の中耳(③)に感染して炎症が起こる病気です。
風邪による鼻の炎症で発症することが多いです。お子様の場合はこの耳管が太くて短いので、かぜ、とくに青ばな(黄色や緑の鼻水)がでたら中耳炎になりやすいです。鼻の処置をしてきれいにすることで治りが早くなるため耳鼻咽喉科を受診してください。また、一度急性中耳炎になったお子様は繰り返しやすいので、風邪をひいたら早めに受診してください。
<症状>
耳の中に痛みがある、耳だれが出ている、難聴、熱が下がらない、食欲不振など
※お子様の場合は、発熱や不機嫌、泣き止まないなど耳が痛いことが分からない場合も多いです。
熱や痛みがある時はお風呂やプール、運動は控えてください。
<治療法>
抗生剤や消炎剤などのお薬/鼻の処置/鼓膜切開(痛みや腫れなどの症状が強い場合)
一度中耳炎になったお子様は大きくなるまで繰り返しやすいです。
鼻風邪をひいたら起こしやすくなるので、早めに受診しましょう。
滲出性中耳炎
鼓膜の奥にある中耳腔に液体が貯まる病気です。
中耳は耳と鼻をつなぐ耳管を通して換気をしていますが、この換気の力が悪いと起こります。原因は副鼻腔炎や風邪などで耳管の機能が低下したり、アデノイドや鼻の奥に腫瘍ができて耳管の入り口を塞いで換気できなくなるためです。
子供や高齢者はこの働きが弱いため起こり易いです。
<症状>
難聴・耳のつまり感・テレビの音が大きい・耳鳴りなど軽度の難聴が起こることが多いです。
自覚症状に乏しいため、お子様の場合は発症に気づかずに放置されると深刻な難聴を引き起こすこともあります。
[かかりやすい方]
急性中耳炎が治りきらなかった場合や、鼻をすする癖のある方アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の治療が不十分な方など
<治療法>
鼻の処置や内服治療/ネブライザー(吸入器)を使った鼻と喉の治療/鼻から耳に空気を送る「耳管通気」/鼓膜チューブ挿入
幼少時の数か月は言葉の発達に大きな影響を及ぼします。この病気は症状が出にくいので言葉の遅れで発見されることもあります。よく風邪をひくお子様は一度耳鼻科を受診しておきましょう。
季節性流行の病気
溶連菌感染症
当院では10分で判定できる迅速検査が可能です。
のどの症状だけでなく、合併症として腎臓や心臓にも炎症を起こすことがあるので、まずはきちんと診断することが大事です。学童期のお子様が最も多いですが、コップの回し飲みやおはしの使い回しで感染するため家庭内感染も多いです。
<症状>
強い咽頭痛、長引く咽頭痛、首のリンパの腫れ、高熱、発疹、苺舌(赤いブツブツを伴う舌)
合併症 急性糸球体腎炎、リウマチ熱
<原因>
A群レンサ球菌(溶連菌)による上気道感染症
飛沫感染(くしゃみ、咳)や接触感染(皮フ、タオル、食器)でうつります。
<治療法>
特定の抗生剤を決められた期間内服します。
合併症を防ぐためには、指示された通りの期間きちんと抗生剤を内服して除菌することが大切です。
アデノウイルス感染症
当院では15分で判定できる迅速検査が可能です。潜伏期は5~7日とやや長め。原因のウイルス型が数種類あり型により病名や症状が異なります。
症状は非常に多彩で、「咽頭炎」「上気道炎」や「結膜炎」、さらに嘔吐下痢などの「胃腸炎」症状などさまざまな疾患を引き起こします。
<代表的な疾患>
【プール熱(咽頭結膜熱)】 数日間の高熱、咽頭痛、のどやリンパの腫れ、目の充血、目やに
【はやり目(流行性結膜炎)】 目の充血、大量の目やに、光がまぶしい、まぶたがむくむ(眼の症状だけなら眼科を受診して下さい)
【扁桃炎】 高熱、咽頭痛、扁桃に膿がつく
【上気道炎・気管支炎】 熱、鼻水、咳、咽頭痛
【胃腸炎】 嘔吐 下痢
<原因>
飛沫
感染(くしゃみ、咳)や接触感染(皮フ、タオル、食器)でうつります。
感染力がとても強く、タオルや目やにのついたティッシュからも感染するので気をつけましょう。
<治療法>
特効薬はなく、解熱剤や点眼薬などの対症療法が中心です。のどの痛みで食欲が落ちることも多いので水分補給はこまめにしましょう。食事は無理なく食べられるもので構いません。
手足口病
検査方法はなく、医師の目が頼りです。症状は軽い発熱とのどの痛みが特徴です。潜伏期間は3~5日。治った後数週間は、便にもウイルスが含まれているため保護者の方は注意しましょう。
<症状>
軽い発熱、咽頭痛
発熱から2日ぐらいから手掌・足底に多発する小水疱
<原因>
コクサッキーウイルスやエンテロウイルス
<治療法>
特効薬はなく解熱剤などの対症療法が中心です。のどの痛みで食欲が落ちることも多いので水分補給はこまめにしましょう。食事は無理なく食べられるもので構いません。
ヘルパンギーナ
検査方法はなく、医師の目が頼りです。症状は高熱とのどの痛みが特徴です。潜伏期間は2~4日。全身倦怠感や嘔吐を起こすこともあります。
<症状>
高熱、全身倦怠感、食欲不振、咽頭痛、嘔吐
<原因>
コクサッキーウイルスやエンテロウイルス
<治療法>
特効薬はなく解熱剤などの対症療法が中心です。のどの痛みが強く食欲が落ちることも多いので水分補給はこまめにしましょう。食事は無理なく食べられるもので構いません。
RSウイルス
当院では15分で判定できる迅速検査が可能です。潜伏期間は通常2~7日。
初感染の乳幼児では上気道症状(鼻汁、咳など)から始まり、その後下気道症状(呼吸困難、喘鳴、肺炎)が出現することもあるので注意が必要です。喘息に移行することもあります。38~39℃の発熱が出現することもあります。2歳未満の乳児では入院が必要となることもあるので注意が必要です。
<症状>
発熱 鼻汁 咳 呼吸困難 喘鳴
<原因>
RSウイルス
<治療法>
対症療法が基本ですが、入院して点滴が必要になることもあります。
インフルエンザ
季節性に流行するインフルエンザは主にA型とB型の2種類があります。
例年インフルエンザには国内で1,000万人の人が感染していると言われています。
かぜよりも急激に発症し、小児や高齢者では重症化することもあります。
【合併症】
インフルエンザ脳症、気管支炎、肺炎など
いずれも、65歳以上、小児、妊娠中、糖尿病などの基礎疾患がある方では重症化しやすいので、早期治療が大切です。
【検査】
綿棒で、鼻の奥の鼻汁を取って調べます。
のどから取る方法もありますが、当院では診断確率の高い鼻からの検査を行っています。
鼻の構造をきちんと見て、出来るだけ痛くない綿棒の通り道や角度で検査しますので、痛みを軽減できます。また診断の確率が高い部分を正確にぬぐいます。
結果は10分程度で出ます。
全身の症状(高熱、だるさ、関節痛)です。
呼吸器症状(のどの痛みや咳、鼻汁)があることも多いです。
B型では、熱が低く、消化器症状(下痢や嘔吐)が出ることもよくあります。
腸炎と間違えることもあるため、全身症状や鼻、のどをみて、きちんと診断することが大切です。
抗インフルエンザ薬の、内服や吸入です。
年齢やご本人の状態により、最適な治療薬を選択して処方します。